最終更新:2026-08-23
📚 この記事は、警察庁・各都道府県警察・e-Govの法令など公的な一次情報にもとづき、航路編集部が内容を確認しています。
「古物商許可の審査って、何を見られるんですか」——よく聞かれます。
答えは、ほとんどの人が知らないだけで、読めるようになっています。行政手続法が、審査基準を公にしておくことを行政庁に義務づけているからです。この記事は、その「読めるもの」がどこにあり、法律のどこに紐づいているかを整理します。
法律は「許可をしてはならない場合」しか書いていません
まず、許可の条文はこれだけです。
前条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。
(古物営業法 第3条)
そして、許可の基準(法4条)の書き出しがこうです。
公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、許可をしてはならない。
(古物営業法 第4条 柱書)
🔴 「該当する場合は許可をしてはならない」——書いてあるのは、そこだけです。「こういう人に許可する」とは書かれていません。
つまり各号(欠格事由)に当たらなければ、許可される建て付けになっています。事業計画の出来や資金力で落とす仕組みではありません。審査の実質は「各号に当たらないことの確認」です。各号の中身は欠格事由にまとめています。
審査基準は「公にしておかなければならない」
では、その確認をどうやるのか。そこを定めるのが審査基準で、行政手続法が扱いを決めています。
1 行政庁は、審査基準を定めるものとする。
2 行政庁は、審査基準を定めるに当たっては、許認可等の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければならない。
3 行政庁は、行政上特別の支障があるときを除き、法令により申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により審査基準を公にしておかなければならない。
(行政手続法 第5条)
読みどころは3つです。
- 定めるのは義務(「定めるものとする」)。
- できる限り具体的に。「総合的に判断する」で終わらせない、という趣旨です。
- 🔴 公にしておくのも義務。「求められたら見せる」ではありません。あらかじめ、置いておく。
古物商許可の行政庁は公安委員会です(法3条)。公安委員会は都道府県ごとに置かれるので、審査基準も都道府県ごとに定められています。各都道府県警察のウェブサイトや、申請窓口である警察署で確認できます。
⚠ 「他県のブログに書いてあった基準」は、あなたの県の基準ではありません。審査基準を定めるのは、あなたが申請する先の公安委員会です。都道府県ごとの窓口・手数料・運用は都道府県別の一覧から確認してください。
申請書に書かせている7つが、見られていることそのものです
審査基準の中身は都道府県ごとですが、「何について判断するのか」は法律が決めています。申請書の記載事項がそれです。
一 氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 主たる営業所又は古物市場その他の営業所又は古物市場の名称及び所在地
三 営業所又は古物市場ごとに取り扱おうとする古物に係る国家公安委員会規則で定める区分
四 第十三条第一項の管理者の氏名及び住所
五 ……行商(仮設店舗……)をしようとする者であるかどうかの別
六 ……その営業の方法として……
七 法人にあつては、その役員の氏名及び住所
(古物営業法 第5条第1項)
この7つは、それぞれあとで効いてくる条文とつながっています。
| 書かせているもの | これが効いてくる場面 |
|---|---|
| 一・七 氏名/役員 | 欠格事由の確認(法4条)。法人なら役員も見られます(欠格事由) |
| 二 営業所の所在地 | 標識の掲示(法12条1項)/立入りの場所(法22条1項)/変更届の対象 |
| 三 取り扱う古物の区分 | 区分は国家公安委員会規則で定められています(品目区分) |
| 四 管理者 | 営業所ごとに1人の選任義務(法13条1項)。なれない人も条文にあります(同2項) |
| 五 行商の別 | 「しない」で取ると営業所以外で取引できません。従業者には行商従業者証(法11条2項) |
| 六 営業の方法 | ネット取引ならURLの届出(URL届出と行商) |
🔴 「何を見られるか」は、申請書が全部聞いています。審査基準は、この7つをどう確かめるかを具体化したものだと考えると、読む前から見当がつきます。
「40日」は法定の期間ではありません
もうひとつ、公にされているものがあります。標準処理期間です。
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、……公にしておかなければならない。
(行政手続法 第6条)
🔴 定めること自体は努力義務、定めたら公表は義務——という組み合わせです。
よく言われる「おおむね40日」も、法律が決めた期間ではありません。各公安委員会が定めた標準処理期間です。だから県によって違いますし、「40日を過ぎたから違法」という性質のものでもありません。期間と流れは許可までの期間で扱っています。
出したあとに起きること(条文で決まっています)
| 場面 | 条文 | 行政庁がすること |
|---|---|---|
| 申請が届いた | 行手法7条 | 遅滞なく審査を開始しなければならない。形式上の要件に適合しないときは、速やかに相当の期間を定めて補正を求めるか、拒否する |
| 進み具合を聞かれた | 行手法9条1項 | 審査の進行状況と処分の時期の見通しを示すよう努めなければならない(努力義務) |
| 書き方を聞かれた | 行手法9条2項 | 申請書の記載・添付書類その他必要な情報の提供に努めなければならない(努力義務) |
| 断るとき | 行手法8条 | 🔴 同時に、処分の理由を示さなければならない。書面でするときは書面で |
「返事が来ない」状態は、条文上は想定されていません。届いたら遅滞なく審査を開始し、形式に不備があれば補正を求めるか拒否する——どちらかです。
そして断られるときは理由が示されます。ここは義務です(努力義務ではありません)。
⚠ ただし第8条第1項にはただし書きがあります。要件や公にされた審査基準が数量的指標その他の客観的指標により明確に定められている場合で、申請書や添付書類から適合しないことが明らかなときは、「申請者の求めがあったときに示せば足りる」とされています。示されなかったら、求めてください。
申請する前に、読んでおくもの
- 自分が申請する都道府県の審査基準。公にしておくことが義務づけられています(行手法5条3項)。
- 同じ県の標準処理期間。定めていれば公表されています(行手法6条)。
- 欠格事由(法4条各号)に自分が当たらないか。審査の実質はここの確認です(欠格事由)。
- 添付書類の一覧。形式の不備は補正か拒否の対象です(行手法7条)。必要書類に整理しています。
- 営業所ごとの管理者を決めたか。法13条1項の選任義務です。
この5つを先に押さえておけば、「何を見られるか分からない」という状態ではなくなります。取り方の全体像は取り方ガイドにあります。
審査基準・標準処理期間の具体的な内容、公表の場所(ウェブサイトか窓口備付けか)は、都道府県によって異なります。本記事は、審査基準が公にされている根拠と、申請後の手続の枠組みを条文で整理したものです。実際の基準の中身は、申請先である営業所を管轄する警察署の生活安全課(防犯係)、または各都道府県警察のウェブサイトでご確認ください。
参照した一次情報
- e-Gov法令検索「古物営業法」(昭和24年法律第108号)(第3条 許可/第4条 許可の基準/第5条第1項 許可の申請/第11条第2項/第12条第1項/第13条 管理者/第22条第1項)
- e-Gov法令検索「行政手続法」(平成5年法律第88号)(第5条 審査基準/第6条 標準処理期間/第7条 申請に対する審査、応答/第8条 理由の提示/第9条 情報の提供)