最終更新:2026-08-23
📚 この記事は、警察庁・各都道府県警察・e-Govの法令など公的な一次情報にもとづき、航路編集部が内容を確認しています。
オークションサイトに出品する側と、そのサイトを運営する側。古物営業法は、この2つをまったく別の制度で扱っています。
運営する側は古物競りあつせん業者といい、許可ではなく届出です。しかも、営業を始めてから2週間以内に出せばよい。——古物商が許可を待たなければ営業できないのとは、正反対の作りです。
誰のことか
古物の売買をしようとする者のあつせんを競りの方法(政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法その他の政令で定めるものに限る。)により行う営業(前号に掲げるものを除く。以下「古物競りあつせん業」という。)
(古物営業法 第2条第2項第3号)
ポイントは「あつせん」です。自分が売り買いするのではなく、売り手と買い手をつなぐ場をつくる側。「政令で定める電子情報処理組織を使用する競りの方法」——ネットオークションが想定されています。
出品する側の話ではありません。自分がヤフオク等に出品するときに届出が要るかどうかは競り売りの届出にまとめています(結論からいえば、あっせん業者のサービスに出品するだけなら不要です)。
許可ではなく届出。しかも開業してから2週間以内です
古物競りあつせん業者は、営業開始の日から二週間以内に、営業の本拠となる事務所の所在地を管轄する公安委員会に、次に掲げる事項を記載した届出書を提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 営業の本拠となる事務所その他の事務所の名称及び所在地
三 法人にあつては、その役員の氏名及び住所
四 第二条第二項第三号の競りの方法その他業務の実施の方法に関する事項で国家公安委員会規則で定めるもの
(古物営業法 第10条の2第1項)
「営業開始の日から二週間以内」——先に始めてよい、と条文が言っています。古物商の許可(法3条)は、下りるまで営業できません。ここが制度としていちばん違うところです。
廃止したとき、記載事項に変更があったときも、届出書を出します(同条第2項)。
⚠ 欠格事由(法4条)は「許可」の要件です。届出制の古物競りあつせん業には、条文上、許可のような事前の審査がありません。そのぶん、業務のやり方に対する規定(法21条の2〜21条の5)と、警察からの命令(法21条の7)で担保する作りになっています。
出さないと20万円。変更を出さないと10万円です
| 出さなかった/虚偽 | 罰条 | 罰金 |
|---|---|---|
| 営業開始の届出(法10条の2第1項) | 法34条3号 | 二十万円以下 |
| 変更・廃止の届出(法10条の2第2項) | 法35条1号 | 十万円以下 |
| (参考)古物商の無許可営業 | 法31条1号 | 三年以下の拘禁刑 又は百万円以下 |
開業と変更で、罰金の額が倍違います。そして参考に並べたとおり、許可制の無許可営業とは桁が違います。届出制はそれだけ入口が軽い、ということでもあります。無許可営業のほうは無許可営業の罰則にあります。
義務の強さが、条ごとに違います
ここは条文を並べないと分かりません。「努めなければならない」と「しなければならない」が混ざっています。
| 何を | 条文 | 語尾 | 強さ |
|---|---|---|---|
| 相手方の真偽の確認 | 法21条の2 | とるよう努めなければならない | 努力義務 |
| 盗品等の疑いの申告 | 法21条の3 | 直ちに、申告しなければならない | 🔴 義務 |
| あっせんの記録の作成・保存 | 法21条の4 | 作成及び保存に努めなければならない | 努力義務 |
🔴 3つのうち、義務は申告だけです。確認も記録も努力義務にとどまります。
古物商のほうを並べると、違いがはっきりします。古物商は本人確認(法15条1項)も古物台帳(法16条)も義務で、破れば罰則があります。あっせん業者は、同じことが努力義務です。
なお申告義務そのものは、古物商(法15条3項)にも、あっせん業者(法21条の3)にもあります。盗品まわりの申告だけは、どちらにも同じ強さで課されている——そこが制度の芯です。古物商側は盗品かもと思ったらで扱いました。
認定を受けられます。ただし紛らわしい表示は「何人も」アウトです
1 古物競りあつせん業者は、その業務の実施の方法が、国家公安委員会が定める盗品等の売買の防止及び速やかな発見に資する方法の基準に適合することについて、公安委員会の認定を受けることができる。
2 前項の認定を受けた古物競りあつせん業者は、……認定を受けている旨の表示をすることができる。
3 何人も、前項の場合を除くほか、同項の表示又はこれと紛らわしい表示をしてはならない。
(古物営業法 第21条の5)
認定は「受けることができる」——任意です。受けなくても営業はできます。
🔴 ところが第3項の主語は「何人も」です。あっせん業者に限りません。認定を受けていない人が、認定を受けているかのような表示や、紛らわしい表示をすると違反になります。罰則は法34条4号で二十万円以下の罰金——届出を出さなかったのと同じ額です。
警察から来るのは「保管」ではなく「競りの中止」です
古物競りあつせん業者のあつせんの相手方が売却しようとする古物について、盗品等であると疑うに足りる相当な理由がある場合においては、警察本部長等は、当該古物競りあつせん業者に対し、当該古物に係る競りを中止することを命ずることができる。
(古物営業法 第21条の7)
古物商には保管を命じます(法21条・差止め)。あっせん業者は品物を持っていないので、命じられるのは競りの中止です。罰則はどちらも同じ法33条5号(六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金)。差止めのほうは差止め(保管命令)が来たらにまとめています。
報告は求められますが、立入りの条文には入っていません
ここは条文を丁寧に読む価値があります。
1 警察職員は、必要があると認めるときは、営業時間中において、古物商の営業所若しくは仮設店舗、古物の保管場所、古物市場又は第十条第一項の競り売りの場所に立ち入り、古物及び帳簿等を検査し、関係者に質問することができる。
3 警察本部長等は、必要があると認めるときは、古物商、古物市場主又は古物競りあつせん業者から盗品等に関し、必要な報告を求めることができる。
(古物営業法 第22条第1項・第3項)
🔴 第3項(報告)には「古物競りあつせん業者」が入っていますが、第1項(立入り)の場所の列挙には、あっせん業者の事務所が入っていません。
報告は求められる。立入りの条文は古物商・古物市場の側を向いている。——届出制で、実店舗に品物が積まれているわけでもない業態だから、と読めます。立入りから営業停止までの流れは立入りから営業停止までにあります。
始める前・始めた直後に確認すること
- 自分は「あっせん」なのか「売買」なのか。自分で買って自分で売るなら古物商の許可(法3条)の話です。
- 届出は営業の本拠となる事務所の所在地を管轄する公安委員会へ。営業所ごとではありません。
- 2週間の起算日は「営業開始の日」。準備を始めた日ではありません。
- 記載事項が変わったら、廃止したら、そのつど届出。忘れると法35条1号です。
- 🔴 認定を受けていないなら、それらしい表示をしない。「何人も」が対象で、二十万円以下の罰金です。
届出書の様式、添付書類、第10条の2第1項第4号の「国家公安委員会規則で定めるもの」の中身、認定の申請手続は、国家公安委員会規則と各都道府県警察の案内で確認してください。本記事は法律の条文の構造を整理したもので、様式の記載方法までは扱っていません。始める前に、営業の本拠となる事務所を管轄する警察署の生活安全課(防犯係)へご確認ください。
参照した一次情報
- e-Gov法令検索「古物営業法」(昭和24年法律第108号)(第2条第2項第3号・第5項 定義/第10条の2 届出/第21条の2 相手方の確認/第21条の3 申告/第21条の4 記録/第21条の5 認定/第21条の7 競りの中止/第22条第1項・第3項 立入り・報告/第31条第1号/第33条第5号/第34条第3号・第4号/第35条第1号)